ぬいぐるみ向けサービスがあるのをご存じですか? 旅行代理店、病院、カフェと、どれもぬいぐるみ専用で、“1年待ち”“1分で完売”など大人気なんです。人気の理由や背景について、大学教授、サービス提供者を直撃しました!

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 ぬいぐるみ好き注目! ぬいぐるみの病院、ぬいぐるみのためのカフェ、ぬいぐるみ専門の旅行代理店など、ぬいぐるみ向けサービスが大盛況! どれもすぐに予約が埋まってしまい、ぬいぐるみの病院は、なんと1年待ち! これらのサービスは、国内のみならず、海外のメディアにも取り上げられ、世界からも注目されているのだ。

 今までは、大人がぬいぐるみを可愛がると変な目で見られていたが、男子フィギュアスケートの羽生結弦選手、プロ野球の大谷翔平選手が“ぬいぐるみ男子”であると話題に。注目の将棋界では、渡辺明竜王がぬいぐるみ好きと、雑誌のインタビューで話すなど、ぬいぐるみ好きを堂々とアピールする時代がやってきた。

「ぬいぐるみほど安心して自分を預けられる存在は、ほかにないと思います」

 と、日本のキャラクター文化に詳しい、法政大学の青木貞茂教授。

「私もぬいぐるみに癒されています。自宅はぬいぐるみだらけですよ(笑)」(青木教授)

 ぬいぐるみに愛情を注いだり、関係性を築く人のことを青木教授は“ぐるみぃ”と称して、オタク文化のように、ダークなイメージから明るい文化に変えたいと語る。

 ぐるみぃ代表の記者にはうれしい現象だが、理解に苦しむ人もいまだに多いのでは?

「日本には、茶碗やお箸に神様が宿るという付喪神(つくもがみ)の考え方が古くからあります。いわゆるアニミズムというものです。日本人は、無機物に魂があるのではないかと思うことができる国民性を持っているのです」(青木教授)

 日本は、大人になったら子どもの世界を卒業しなくてはいけない、という風潮が弱いことも、ぐるみぃ存在の理由。

「ぬいぐるみは容姿が変わらず、いつまでも可愛くピュアなまま。文句も言わないし、紛失しない限り、ずっとそばにいてくれます。ぐるみぃは潜在的に多いと思いますし、無機物に感情移入する人は、今後、爆発的に増えると思います」(青木教授)

“修理”ではなく“手術”

 まずは、記者も利用した『ぬいぐるみ健康法人 もふもふ会 ぬいぐるみ病院(R)』(大阪府豊中市)。人気の理由は、“修理”ではなく、ぬいぐるみを患者として丁寧に扱い、ぐるみぃが楽しめる世界観があるところ。執刀医はいのししのぬいぐるみ“いのの先生”、ナースはにわとりのぬいぐるみ“こけこっこ婦長”。

ぬいぐるみの病院は、ぬいぐるみの医師や看護師がやさしく診察、看護をしてくれる

 入院したわが子が、いのの先生やこけこっこ婦長とふれあう姿を撮影し、画像を提供してくれるサービスもある。代表の堀口こみちさんは、

もともと運営していたぬいぐるみ販売のお客様向けサービスでしたが、昨年、病院として開院し、幅広く受け入れるようにしました。当初は月に10名ほどしか入院患者さんがいませんでしたが、すぐにツイッターで広がり、お問い合わせが月に1000件と急激に増えました。現在はスタッフを増員し、受け入れ数も増やしましたが、予約申し込みも中断し、お待ちいただいている状況です」と、説明。

 手術件数は、現在までに2000件を超え、技術も日々進歩しているという。

「年齢が40~50歳という高齢の患者様や、自作のぬいぐるみさんも入院されるので、皮膚移植や植毛の技術を高めました」(堀口さん)

 長年、可愛がっていたぬいぐるみは中も外もボロボロ。キレイにして、最後は一緒に棺に入りたいと願うぐるみぃは少なくないのだ。

 入院期間は、お風呂と綿入れなら2週間程度、皮膚移植などICU特別手術の場合は2~3か月かかることもある。