小西博之さんは、2004年12月に末期の腎臓がんが見つかった。手術で摘出した腫瘍は縦20センチ、横13センチという大きさで、5年生存率は2%未満。厳しい現実に直面しつつも、小西さんのがんは完治した。『生きてるだけで150点!』は、がんとともに歩んだ12年間の思いや記録をまとめた1冊だ。

末期がんから生還、命の授業をまとめた『生きてるだけで150点!』を上梓した小西博之さん 撮影/渡邉智裕

「僕は全国を回り、『命の授業』という講演活動を年間約100回行っています。講演会は大人の方が対象のこともあれば、小中高生に向けて話すこともあります。昨年末にその様子がテレビで放送され、番組を見た毎日新聞の方が年明けに取材をしてくださったんです。それが今年初の仕事だったので、“いい1年になりそうだな”と思っていました。すると、記事が出た翌日に毎日新聞出版の方から連絡があり、この本を出すことになったんです」

 小西さんは数年ほど前から、“本を出したい”と思っていたそうだ。

「僕は講演会の後、みなさんと握手をしているのですが、その際に本かDVDが欲しいと言われることが多かったんです。『命の授業』の講演をはじめてちょうど10年の節目でこの本を出版することができ、本当にありがたいです」

 本書には、腎臓がんが見つかった経緯や治療中の出来事、支えられた言葉や自身のがんに対する向き合い方などが記されている。

「講演を聞いてくれる人の年齢層や講演時間などによって話す内容が変わるのですが、この本に書かれていることはすべて、『命の授業』の講演で話していることです」

 小西さんは、講演会後の握手のとき、何度か足を運んでいるお客様から「今日はちょっと話が違いましたね」と言われることがあるという。

「そういうとき、僕は必ず言うんです。“同じですよ”って。違うと感じるのは、お客様の心の持ちようが変わっているからなんですよね。僕は小学校3年生のとき、おふくろと一緒に『フランダースの犬』を読んで魂を揺さぶられて以来、本が大好きになったんです。以前はよく理解できなかった部分でも、何年か後に読み返すと納得できたりするものですから。同じように、お客様には自分自身の変化に気づいてほしいから、僕はどの講演でもできるだけ同じ話をするようにしているんです