「下ごしらえいらず」「旬のおいしさをいつでも」「栄養たっぷり」。これらを全部かなえてくれるのが、実は缶詰なんです。知られざる缶詰の魅力をご紹介します!

《缶詰は古いほうがおいしい!?》

 ただの「非常食」ではなく、おいしい「日常食」としての魅力が注目を集めている缶詰。その缶詰がなんと、“熟成”することをご存じですか?

 最先端の科学とユニークな実験で、日常の疑問を徹底調査するNHKの人気番組『ガッテン!』では、缶詰のひと味違った楽しみ方をご紹介しました。

 缶詰は、具材と調味液を入れて密閉し、缶ごと高温加熱して作るのが一般的です。製造直後から具材と調味液がなじみ始め、その後は時間とともに少しずつ調味液がしみこんでいきます。

 ツナなどの魚介類の缶詰は特にこの傾向が強く、時間がたつほど味がしみて、まろやかになるのです。

製造後のツナ缶の変化

 高温・高圧で加熱しているので、中の雑菌は全滅。腐ることなく“熟成”できる、缶詰ならではのこの変化を、缶詰業界では「缶熟」と呼び、おいしさのひとつの目安として考えられています。

 番組で取材した、「缶熟」のおいしさをよく知る缶詰メーカーの社員のなかには、「賞味期限が切れているほうがうまいくらい!」「古いものから食べます!」という意見の人も。

 また缶詰は、魚をさばいたり、煮たりする手間のかかる部分をすでにすませてくれているので、時短料理にぴったり。さらに、空気を抜いて密閉してから調理するため、具材が空気にほとんど触れることがなく、うまみや栄養を失わずに、長時間キープできるスグレモノなのです。

 台所の隅に積んでいる缶詰がある人は、この機会に召し上がってはいかがでしょう。

《缶詰博士に聞く、種類別の“缶熟”の傾向》

 公益社団法人「日本缶詰びん詰レトルト食品協会」公認の“缶詰博士”である黒川勇人さんに、缶詰の種類別に“缶熟”の傾向について聞いてみました。

魚・肉缶

 水煮やオイル漬けは、賞味期限が過ぎたくらいがおいしいという生産者も。みそなどの味つけ缶は、期限後は味が抜けたり変質しやすい。

野菜・穀物・豆缶

 スイートコーンは、製造直後はシャキッ、次第にもっちりした食感に変わる。ほかの野菜類も含め賞味期限内に食べるのがおすすめ。

果物缶

 製造から半年ほどでシロップと果物がなじむ。缶の質も向上し、保存しても金属臭くなりにくいが、期限内に食べるのがおすすめ。

「基本的に缶詰は開けない限り腐ることはありませんが、食感や味わいが微妙に変化します。変化の程度は食材によって違うので、傾向と、缶に記載された賞味期限の3年前を製造された日の目安として、ぜひ自分好みの味わいを見つけてください。

 ただし、缶が膨らんでいたり、開けたときにプシュッとガスが出てきたり、変なにおいがした場合は、食べるのをやめましょう」(黒川さん)