フィフィと佐藤大和弁護士

芸能人の権利を守る「日本エンターテイナーライツ協会」の発起人でもある佐藤大和弁護士とフィフィが、今後の芸能界について考える「どうなる、これからの芸能界」。第三弾では、日本の芸能界にユニオンが必要な理由について、海外と比較しながら分析していきます。

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ーーなぜ芸能人の権利を守る“ユニオン”を作ろうとされているのかについて伺っていきたいと思います。

佐藤:契約書ひとつとってもそうですが、日本のエンタメ文化のなかに、契約文化、法律文化を育てていかないと、いくら魅力があってもタレントさんは海外で闘えなくなってしまうと思うんですね。

フィフィ:日本のタレントさんは、自分たちに権利があることを知らないことが多いですよね。

佐藤その理由のひとつとして、マネジメントとエージェント(※注1)が一緒になっていることがあげられると思います。いまは事務所のなかにどちらも入ってしまっている。

 だけど、たとえばアメリカの場合は、マネジメントとエージェントが別々なんですよ。タレントさんは何か相談したいことがあったとき、事務所を通さずエージェントに直接相談することができるわけです。

フィフィ:実際、私たちには相談相手がいないのよ。もちろん私自身、別に不満なことはないけどね(マネージャー苦笑)。なかには髪型ひとつ変えただけで文句をいってくる事務所もありますからね。

 けど、もし私が何か不満をもったとしても、友だちに相談しようにも業界のことはわからないし、問題解決にはならないんですよね。

佐藤:タレントさんの権利について、日本でもやっと公正取引委員会が動き出そうとし始めています。なぜいままで動き出さなかったかというと、タレントさんと事務所の契約が、個人事業主としてなのか、労働者としてなのかで裁判所の判断も変わってしまうからなんですね。

 個人事業主の場合は対等な関係での契約になるので、労働基準法で取り締まりすることができない。独占禁止法などの対象になるんです。

 そのため裁判所が判断するときに、その契約内容によって監督官庁も別々になってくるんですね。そうした複雑な状況もあって、公正取引委員会は動きづらかったわけです。

 だけどオリンピックに向けて、スポーツの活動禁止規制を崩したいという意図があって動き始めた。芸能もそれに付随して動き始めたともいわれています。

フィフィ:公正取引委員会だけでなく、佐藤先生のようにユニオンを作ろうとしている方たちも、芸能人たちの権利を守ろうとしてくれているんですよね?

佐藤:そうです、ただこの動きに賛同してくれるタレントさんがまだまだいないのが現状です。

フィフィ事務所の顔色を見ないといけませんからね。それに入ってしまうと、いつでも訴えますよ、という姿勢だと受け取られてしまいかねませんから。

 事務所と敵対関係になってしまうのではないかというイメージがまだあるので、ちょっと入りづらいところがあると思います。