被災後、益城町へペットの治療に赴く徳田竜之介医師

 熊本地震後、飼っているペットが死んでしまったという話をあちこちで聞いた。

「地震がよほど怖かったんでしょうね。うちのミニチュアダックスは、揺れるたびに震えて、腰が立たなくなって動けなくなってしまいました。

 食欲も落ちたので病院に連れて行ったけど、原因がわからない。最後はお腹の血管が詰まり、開腹手術までしたけどダメでした

 市内に住む30代の女性は涙ぐみながらそう語り、肩を落とす。被災前は元気そのものだっただけに悔しさがこみ上げる。

 ここ半年で飼っている2匹の犬が相次いで死んだという話もほかの女性から聞いた。2年たっても影響は続いている。

「同伴避難」は難しい

「動物はしゃべれないから、そのぶんストレスがたまりやすいんです。今でも小さな音や揺れに反応して、びくびくするペットは多いですよ」

 熊本市内の『竜之介動物病院』院長である徳田竜之介さんはそう指摘する。

 熊本地震後、車中泊やテント泊が多かったのは、子どもや高齢者がいるという理由もあるが、ペットの存在も見逃せない。

 避難所では、同行避難してきてもペットは入れず、避難所脇に作られた小屋にケージのまま置くしかなかった。中には避難スペースに連れ込む人もいたが、これが大混乱を招いた。  

 原因のひとつに、環境省が示していたペットの避難に関するガイドラインのあいまいさがある。「同行避難が基本」としているが、それは避難所まで一緒に行くだけで、一緒に過ごせる「同伴避難」ではないのだ。

激震地・益城町で崩れた家屋を避けながら往診に向かった

 そうなると、被災者もぺットもストレスがたまる一方だが、避難所にペットを持ち込まないで、との苦情も多い。アレルギーがある人にとっては深刻な問題にもなる。食べ物に毛が入る、鳴き声がうるさいなどトラブルにもなりやすい。

 環境省は今年に入り、ガイドラインを改訂。ペットと人が同室で過ごす「同伴避難」は避難所ごとの判断であり、基本的には難しいことを再定義した。ペットを飼う人、飼わない人での歩み寄りが難しい問題だ。