プログラムでは手作りの人形を使って仕組みを学び「点滴は怖くない」など、親が受ける治療を理解する

 がん治療の現場では「家族は第二の患者」と言われている。

 本人同様に精神的にも肉体的にも追いつめられ、不安や抑うつなどのストレスを抱えることが多いからだ。たとえ親ががんであることを知らなくても、間違いなく子どもも、そのうちのひとりである。

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 心配をかけまいと思って隠していても、子どもは親の変化に敏感なもの。

「私が悪い子だったから、お母さんは病気になったの?」「お父さんは、死んでしまうの?」─。

 不安や心配を抱え、いつの間にか心に深い傷を負ってしまうこともある。

 病院では、医師も患者も治療で手いっぱいになり、家族の問題には目が向かない。そうした置き去りにされがちながん患者の子どもの心をケアしようと、医療ソーシャルワーカーの大沢かおりさんは『Hope Tree』を立ち上げた。

回を重ねると出てくる子どもの本音

 大沢さんは自らも乳がんのサバイバーであり、夫をうつ病による自殺で失った経験を持つ、自死遺族でもある。

「夫が自殺したのは、乳がんの手術が終わり、ホルモン療法を受けていたころのことです。生きる気力を失ってしまい、再発予防をする必要性が感じられず、途中で治療をやめました」

 かろうじて続けていた仕事と、経過する時間が悲しみを少しずつ癒してくれるなか、大沢さんはがん患者の子どもの心のケアを目的として開発されたアメリカのプログラムと出会う。