全国で3000棟がデータ改ざんのおそれありと、波紋が広がる建築データ偽装問題。

 発端となった『パークシティLaLa横浜』の住民からは、建物の安全性ばかりか、健康被害を懸念する声すら上がっているが、マンション居住そのものが健康に影響を与えかねないという声があることを、ご存じだろうか?

「高層階への居住は住む人の健康面にさまざまな影響を与えますが、妊婦さんにはそれが特に顕著です。33歳以上の妊婦さんは6階以上の高層階には住むべきではないように思えますね」

 こう語るのは、長年にわたり環境が人体に与える影響を調査してきた逢坂文夫さん。国土交通省や厚生労働省、文部科学省からの依頼を受けシックハウス症候群ほかを研究、1994年に発表した論文で、『高層に住む33歳以上の女性の流産率は約7割に達する』と発表し、各界に大きな衝撃を与えた公衆衛生学の権威だ。

 まずは、その驚愕の調査結果を、この表Aを見ながら解説したい。

 この表は妊婦さんの居住階と出産年齢別にみた流産の割合をまとめたものである。いちばん左の棒グラフは全体をトータルしてまとめたもので、以下、右に行くほど年齢が上がっていく。

「“27歳以下”の棒グラフを見てください。この年齢の妊婦さんの場合、流産率は4・9~5・9%と、建物の高さによる影響はほとんどありません。ところが年齢が上がるにつれて、高層階に住んでいる人の流産率が顕著に高まっています。

 もちろん出産年齢が上がれば上がるほど流産率は高まるものですが、高さという要素が加わると、それがさらに強まるのが見てとれるのです」

 どうやら住む場所の高さは、私たちが思っている以上に、私たちの身体に影響を与えているようなのだ─。こうした高さと健康の問題。では、高さの何が妊婦さんの流産率を高め、神経症など、私たちの健康に影響を与えているのだろうか?

「わかりません。高層居住が健康に影響を与えることは確かですが、高層に住む人と低層に住む人とのライフスタイルの違いの調査研究がまだないため、原因について確かなことは言えないのです。現在調査の真っ最中で、今後わかってくるかもしれません」

 確かな原因はまだわからないものの、健康への影響が心配なところ。私たちはどうすればいいのだろうか?

 長年、高層居住と健康との関連を研究し続けてきた逢坂さんは、「まだ研究の最中」と前置きしながらも、こんなアドバイスをしてくれた。

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「高層階での暮らし方、ライフスタイルがポイントかもしれません。表Aの『全体』の統計を見ると、6~9階で流産率がグンと上がっているのがわかります(3~5階で9・2%→6~9階で17・8%に上昇)。

 逆に言えば、6階以上で影響が強く、1~5階までは健康影響は少ないとみることができます。住むならば6階未満がベターです。また高層階の家庭ほど換気をよくし、大人も子どもも外に出ることが大切。外に出て外気や日光に当たり、人と話して運動し、明るく、前向きに暮らしてください」

 高層階に住むことでこもりがちになり、運動不足から低体温や神経症傾向を招いたり、換気不足でアレルギーにかかりやすくなるリスクもある。

 こうした状態から脱して、環境を整えることが高層居住には大切という。


《取材・文/千羽ひとみ》*本記事は『』11月17日号掲載分のものに加筆修正したものになります。