『』では、40代~70代の女性1000人を対象に“中高生の言葉遣いに乱れを感じるか”というアンケート調査を実施。 社会や家庭における言葉遣いについて、「乱れていると思う」と回答した人は74.7%。日本語の使われ方に多くの人が違和感を抱いているといえる。先生や親など周囲の大人から注意されることはないのだろうか?

「り(了解)」「ガンダ(ガンガンダッシュ)で来た」などの省略語を家でも使うという、あんちゃん(高2)は、「親に“きちんとした日本語を使いなさい”って言われることもあるけど、もう直しようがないんだよね」と悪びれない。

 また、まいちゃん(高2)によると、「JK語を使うのは今だけ」だとか。

「大人になってもこういう言葉使ってるとさすがにヤバいなって思うから、JD(女子大生)になったら普通の言葉に直すと思う。JK(女子高生)のうちは許されんじゃね?」

「将来はちゃんとする」と言っているから、高校生のうちは若者言葉に過剰に目くじらを立てなくてもいい気もするが。とはいえ、目の前で「ガチでガンダすればワンチャンあるんじゃね?」なんて言われたら、「ちゃんとしゃべりなさい」とひと言、いいたくもなってしまう。

写真:国語専門塾『NICOLLA』代表、高橋麻樹子さん
写真:国語専門塾『NICOLLA』代表、高橋麻樹子さん

 そんな大人の対応について「若者言葉をすぐに否定するのはちょっと待って」とストップをかけるのは、国語専門塾『NICOLLA』代表、高橋麻樹子さん。

「大人にとってわからない言葉をシャットアウトしてしまっては、なぜ彼女たちがその発言をするのか、隠れた思いを知ることができません。どうしてその言葉を使うのか推し量ってみることが大切です」

 高橋さんによると、LINEの登場により、メールよりもテンポの速いやりとりを行えるようになった今の中高生たちは、「この気持ちをどう伝えたらいいのか」「こう言ったら相手がどう思うのか」とゆっくり考える時間がないという。

 確かに彼女たちにLINEを見せてもらうと、1分間で4~5回、往復していることも。また話題もコロコロ変わっている。

「“詰む”のように、いつでも“何となくイイ感じの雰囲気”で使える言葉が、彼女たちにとっては便利なんでしょう。でも、これでは時間をかけて“論理的に思考する力”が育ちません」

 高橋さんは、若者たちがLINEで使用しているのは“言葉の表現”ではなく、感覚的な衝動による“表出”でしかないと指摘。だからこそ、若者言葉の使用を頭ごなしに否定せず、「それってどういう意味?」と聞いて、自分の気持ちや状況と向き合う機会を作ってあげることが大切だという。

「授業中、生徒が流行語を使うこともありますが、そんなときは、すかさず意味を聞きます。大切なのは文脈で説明してもらうこと。例えば、“バイブス”という言葉について質問すると、“テンションや雰囲気といった意味だ”と答えてくれると思いますが、ここで納得せず、“どんな場面で、どのように使うのか”まで説明してもらうんです」

 例えば「好きなアイドルのライブに行くことが決まって、気分が高揚したときに“バイブス上がる”と使う」のように文章で説明してもらうことで、借り物ではなく自分の言葉で表現する力が身につくという。

「今の中高生を見ていると、交友関係は狭く“自分の仲間”がすごく大切。学校でも“自分たちのグループ”が明確にあり、グループ内でモメると自分の居場所がなくなってしまう。つまり、親しい人ほど嫌われないように気を遣わなければならず、既読しているのに返信をしない、いわゆる“KS(既読スルー)”は絶対にしてはならないこと。

 だから、テンポが重視されるようになりましたし、相手への気遣いから大しておもしろくなくても“爆笑”と使う。そうした子どもたちの背景についても、私たち大人は考える必要があると思います」