尾野真千子 撮影/伊藤和幸

「私は四人姉妹の末っ子で、いちばんの甘えん坊なんです。今でもそういうところがあって、頼りたいし、甘えたいし、かまってほしい(笑)。小さいころはお父さん子で、よく父親のあとを追って歩いていたので“金魚のふん”って呼ばれていました(笑)」

 時折、冗談を言っては人懐こい笑顔を見せる尾野真千子(35)。かわいくて、自然体。話しているうちに、自然と彼女の魅力に引き込まれる。 

「こんな私でも緊張したり不安になることもありますよ。例えば、映画の完成披露や初日舞台挨拶の前はドキドキ、ハラハラ。でも緊張したら、あきらめるしかない!(笑)。ハハハ。失敗したらごめんなさい、それでいいと思うんです」

 そう言えるのも、数々の現場を経験してきたからこそ。ヒロインを務めた朝ドラ『カーネーション』をはじめ、出演した映画やドラマは数知れず。作品によってさまざまな表情を見せてくれるが、最近はめっきり“母親役”が多くなった。

「母親役だからといって特別に何かしているわけでもなく、そのときの行き当たりばったり。子どもを前に、自分はどんなしゃべり方をするのかわからないまま現場に行くんです。その状態で声を出してみて、そこで“出た出た、今回はこの声なんだ!”って私もそこで知る、みたいな(笑)」

 これだけ母親役を多くこなしてきているものの、実は子どもが得意なほうではないんだとか。そんな一面も素直に明かすところが彼女らしい。

 でも、母親役を演じているときの姿は超自然体!

「ね~~~、そう見えるように撮ってくれるんですよ(笑)。衣装もメイクも、こっちのほうが母親らしく見えるとか工夫してくれて。服装もちょっと胸を膨らませたほうが母親らしく見えるよねって、おっぱいもちょっと入れたりして。だから私は何もしてないんです(笑)」

 とはいえ、女優・尾野真千子にとっては“普段が勉強の場”だそう。

「買い物とかに出かけたときに、お母さんが赤ちゃんをどんなふうに抱いているのかなとか観察しています。みんな、それぞれ違うんですよね。あとは姉の子どもに対する接し方を見たり。いつも目を光らせて見てます(笑)」

向井理の祖母の半生を演じる

 そんな彼女が今回、俳優・向井理の祖母・芦村朋子さんが記した手記を映画化した『いつまた、君と ~何日君再来~』に出演。戦中・戦後という激動の時代に、妻として母として家族を支え続けた朋子さんの半生を演じている。

「朋子さんの印象をひと言で表現すると支える人、耐える人。古きよき日本のあるべき姿を持った方だなって。すごいんですよ、女性として。向井くんが(生前の)朋子さんに“今でもおじいちゃんのこと好き?”って聞いたら、“今でも愛してる”って答えたんですって。愛する人に添い遂げられるっていちばんの幸せだと思う。私もそんな夫婦の姿に、すごく憧れます」

 役者としても本作に参加した向井とは、ドラマ『サマーレスキュー〜天空の診療所〜』以来の共演で、初めての夫婦役となる。